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ガスで鍋の炊飯をするポイントまとめ

料理科学

はじめちょろちょろなかぱっぱ。

小学校の調理実習で炊飯を鍋でしました。炊飯器という人類の革命的な発明があるにもかかわらず、意外に美味しかったのが印象的でした。

そこでガスを使って鍋で炊飯するポイントをまとめます。

鍋で炊飯すると美味しい?

炊飯器よりもガスによる炊飯は美味しいです。なぜなら気分的なものがあります。料理や食って、精神的な要素が強いので、自分で1から作り上げる(or誰か大切な人に作ってもらう)というだけでとても美味しく感じられます。ボタン一つ、炊飯器で美味しいご飯が炊けてしまう時代だからこそ、ガスコンロで鍋の炊飯をしてうまいご飯にありつきたいと思います。

勝つためにはまずは敵を知ること。米や炊飯の原理原則をまとめていきます。このために図書館に通いましたよ。

鍋で炊飯する前に米について学ぶ

世界中で年間4億8,000万トン栽培されている米。この数字がいったいどれだけのインパクトがあるのか数字がでかすぎて全くイメージできません。その大半がアジアで生産されています。イメージ通り、アジアに馴染みのある食材です。

米は大きく2つにカテゴライズされます。

僕たちがよく食べているのはジャポニカ種で、短い粒状で粘りがあるのが特徴。馴染みの薄い海外の米、インディカ種は長い形状でパサパサしていてカレーやピラフに適している、エスニック料理店で出てくる、パッサパサしてんな!と感じさせるあの米です。あれはあれで美味しい。好きです。

玄米を磨いて精米し、果皮や胚芽を除いていったものが白米であるという説明は他のサイトに譲りますが、米の主成分は次のようになっています。

ここではデンプンと水分の含有量がポイント。後述します。

鍋で炊飯するために大切なデンプンについて

硬くて乾燥している白米を炊飯するとふっくらもちもちとしたご飯に化けることをデンプンのα化と言います。

僕たち日本人が常食するうるち米のデンプンは、アミロースとアミロペクチンという2種類の分子が結合されて形を成しています。このアミロースとアミロペクチンは加熱されることで結合が緩み壊れ、グルコース(ブドウ糖)などに分解されることで、特にアミロペクチンが粘りに変わります。これがデンプンのα化(糊化)。

デンプンはたくさんの粒の集まりですが水で加熱されると、デンプン粒は水分に拡散され隙間ができるために水分を吸って膨張し、柔らかく粘り気が発生します。

α化したデンプンは冷やされると、水分が外に押し出され、デンプンはまた元の状態に戻り固くなってしまいます。これをデンプンのβ化(老化)と言います。ご飯は炊きたてが美味しいというのは、デンプンがα化している状態だからだということになります。

ちなみに、もち米はアミロースが存在せずアミロペクチンのみで構成されているため、粘り気が一層強くなります。化学的に捉えると、うるち米ともち米の違いも納得ですね。

それでは炊飯の原理です

以上見てきたように、炊飯とはデンプンを効果的にα化する調理技術だということが分かります。

洗米

洗米の目的は余計なゴミを取り除いたり、米表面のぬかを洗い落とすことです。3〜4回ほど水を取り替え洗えばOK。手早く行うのがポイントです。乾燥状態にある米は水分を吸収しやすく、洗米時に水分を吸い始めます。洗米の目的は「落とすこと」なのでのんびり洗米してしまうと、ぬかが内部に浸透してしまうことになってしまいます。手早く、行います。

浸漬

火にかける前に、洗った米をしっかりと吸水させます。この工程によって米の水分量は15% → 26%と約10%上昇します。浸漬の目的はデンプンのα化に必要な水分を吸収させること。吸水させることでアミラーゼなどの酵素が活性化し、甘みが生成されます(アミラーゼはアミロースやアミロペクチンをブドウ糖(甘み)に変換する消化酵素)。十分な吸水によって加熱時の熱伝導率が高まり、デンプンのα化が効果的になります。浸漬時間は温度により異なりますが夏なら約30分、冬なら約2時間で吸水量はほぼ飽和状態(限界量)になります。

必要な水加減としては

炊飯時の米+水の量 = 洗米前重量の2.4倍

です。

現代では炊飯器にメモリが付いているので、水分量はあまり意識しませんが、このことを覚えておけばキャンプなどで、中途半端な米の量でも、炊飯釜がなくても、適切な水加減にすることができます(クッキングスケールは必要だけど)。

【加熱1】温度上昇期

温度上昇期とはガスを使って水を沸騰させるまでの時間です。
鍋の中の温度が沸騰に向けて上昇する間に、米はさらに吸水膨張し続け、α化に必要な水を米粒の中心まで供給されます。α化が始まる温度までは酵素が作用して糖が増加し、味に影響を与える重要な時期です。沸騰するまでの時間は炊飯量に関わらず、8〜12分が最適。これよりもゆっくりと加熱すると糖が増加しますが、軟らかい炊きあがりになってしまいます。

【加熱2】沸騰期

炊飯によるα化に必要な温度と時間は100℃(沸騰状態)で20分間ですが、現実的には5分前後でOKです。鍋の中で熱の伝導や対流によって米粒が上下に絶え間なく移動しながら吸水膨潤をし続けα化が進行します。水がほとんど消失すると米粒が移動できなくなり、蒸気孔が作られます。蒸気孔とは炊き上がったご飯の表面にポツポツと空いている穴。

【加熱3】蒸し煮期

ガスを弱火にし10〜15分高温に保ち、米に吸収されない水分は粒と粒の隙間を移動し水蒸気で蒸される状態にします。鍋の中が高温に持続されることでα化を進行させ糖量を増加させます。最後に短時間のみ火を強くし、過剰になっている水分を蒸発させます。水滴などがほとんどなくなったら火を止めます。

【加熱4】蒸らし期

ガスの火を止めた後の蒸らしも重要な工程です。まだα化は進んでいます。火を止めてから15分間は鍋蓋をしたまま。米粒表面にわずかに残る水分がα化に使われるためです。蒸らし終了後そのままにしておくと水蒸気が冷やされて水滴に変わり、米に吸収されて水っぽくなってしまうので、お櫃などに移すとGOODです。炊飯器でも炊けた後に蓋についた水滴でご飯がベチャッとしますよね。僕はそれが嫌なので炊飯後は1分ほど蓋を開けたままにしています。

以上、鍋による炊飯の原理でした。
意外と簡単にガスコンロで鍋炊飯ができそうです。

まとめ

参考文献

>>農林水産省|[WORLD]生産量と消費量で見る世界の米事情

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