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オーブン調理で「低温長時間」と「高温短時間」ではどちらが省エネなのか

オーブン

参考文献の中でオーブン調理について面白い内容がありました。

「121℃で6時間(低温長時間)」「191℃で3時間(高温短時間)」どちらが消費電気エネルギーが少なくすむか

確かに低温は高温に比べてエネルギーは少ない。でもでも6時間は3時間よりもエネルギーは多くなるはず。はてさて、この温度と時間の組み合わせになるとどうなるのか。

結論から先に書くと、本書によると「時と場合による。が、この2つなら通常『191℃で3時間』が省エネ」でした。これから詳しくその理由を書いていきます。計算式も出てきながら理屈が説明されますが、意外とシンプルなのでぜひ読んでみてください。このブログではキリのいい数字として「120℃で6時間」「190℃で3時間」とします。

オーブン調理に必要なエネルギーの求め方

オーブン調理とは目標の温度まで予熱してから食材を庫内に入れ目標の時間加熱するという使い方です。そのためエネルギーについては次の2つに分けられます。

  1. 余熱まで温める
  2. 一定の温度で指定の時間まで温め続ける

1については当然「高温」の方がエネルギーは多くなりますが、高温と低温どちらであっても5分もあれば十分なので、2に比べて圧倒的に時間は短いので1のエネルギー量は無視します。

2についてはどう考えるか。
まず、熱は高いところから低いところへ移動するという性質があります。高温から低温へ流れるという意味。オーブンでは、熱い庫内からオーブンの外(部屋)に向かって熱が放出され、庫内の温度に下がろうとする力が働いてしまいます(冷却)。ですが、僕たちは一定温度で食材を加熱したいため、オーブンでは冷却される分だけ庫内を温め、温度が維持されています。冷却と加熱が調理時間終了まで同時に発生しているということ。当たり前の話ですがこういうことが起きてますよね。

ということは。2においてオーブンの加熱に必要なエネルギーと冷却で失われるエネルギーが同じ量になっていると言い換えられます。つまり、冷却によるエネルギー損失量が分かれば、オーブン調理の必要なエネルギー量が求められるということ。「平均的な冷却率」と「調理時間」の掛け算で求められるという考え。

冷却率はどうやって求めるか。意外とシンプルです。

熱い物質Aが冷める速さは、Aと周囲Bの温度差に比例する。これは「ニュートンの冷却の法則」というものです。冷蔵庫の氷(A)が冬(B温度差が小さい)なら全然溶けないのに、夏(温度差が大きい)ならあっという間に溶けるというのと同じ話です。

今回の場合はAは「オーブン庫内(厳密には庫内の空気)」でBは「部屋・キッチン(厳密には空気)」です。あとはなんやかんや難しい話が出てくるのですが省略。次の方程式で低温長時間と高温短時間の優劣を判定することができます。

必要なエネルギー量 = 調理時間×(調理温度-室温)

この場合、(「120℃で6時間」「190℃で3時間」、室温は20℃と仮定しましょ)で計算して比較してみると

低温長時間=6 ×(120 ー 20)=600
高温短時間=3 ×(190 ー 20)=510

600と510を比べれば、当然後者の方が数字が小さいので、高温短時間の方が必要なエネルギーが少なくすむということになります。この計算は室温に影響されますが、僕たちが快適に生活している温度内であれば、190℃で3時間が省エネという結果になるでしょう。ちなみに「120℃で6時間」の方が省エネになる室温は「51℃」です。あり得ない。笑

参考文献

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