ひかるぶろぐ

人は幸せを次第に感じられなくなってしまう 〜ウェーバー・フェヒナーの法則〜

料理科学

センチメンタルなタイトルですが、ブログカテゴリーは「cooking」。一応、料理のお話です。

人間の感覚は全体に対する「割合」から決定されている

これは人間の五感全てに当てはまる法則でウェーバー・フェヒナーの法則といいます。文字面だと分かりにくさ100%ですが、要するに、僕たち人が何かを感じるのは「量」よりも「割合」が重要だということです。

例えば、100gの皿を手で持ちましょう。この皿の上に彼女が用意してくれた炊きたてほかほかのご飯を少しずつ乗せていってもらうというプレイをしてください(一体、どんなフェチズムだろか)。この時あなたは10gのご飯を彼女に乗せてもらった時に初めて「重くなった」と感じることができた、とします。

次に、手に持っていた100gの皿を壁に投げつけ粉々にした後、彼女がしくしく泣いているのを横目に100均で買ってきたピカピカの200gの皿にもう一度、ご飯を乗せるように彼女に懇願します。この時、「重くなった」と感じられるのは「+10g」時ではなく「+20g」時ということです。

一見すると10gと20gで異なる数ですが、皿の重さに比例しています。どちらも皿重量の10%という重さが追加された時に初めて重量増を感知していました。刺激が多くなればなるほど(ここでは皿の重さ)、感覚が鈍くなる(10gでは重さを感じられない)のです。

これをウェーバー・フェヒナーの法則といいます。

とても珍しい性的嗜好に限った話ではなく、料理・味覚においても同じです。
100mlのスープに塩味を足して味が変わったと感じる量よりも、その10倍の1000mlスープで味を変える場合では当然後者の方がたくさんの塩分を必要とします。当たり前といえば当たり前ですね。僕たちはそうした場面を知らず知らずに経験してます。

ウェーバー・フェヒナーの法則を料理シーンで活用できます。例えばスープ1kg(そんな作らないかー笑)を作っている時に思ったよりも薄味になってしまい塩分を追加するぞの場面。いきなり鍋の中に塩を投入するのはやってしまいがちですが危険です。少しずつ足したら味の変化はわからないしかといって入れすぎたらしょっぱくなるからです。

そんな時は鍋からスープを100mlよそい、何%の塩分で味が整ったかを実験すればOK。仮に、5%分の塩を足してGOOD TASTEになったのなら、鍋の方も5%分の塩を投入すればいいのです。失敗は少なくなりますよね。

話は逸れますが僕たちが大好きなお金もこれですよね。
例えば1円の価値。10円しか持っていない時(財産の10%)は非常に貴重ですが、10万円を持っているときの1円(財産の0.01%)に価値を感じません。同じ「1円」のはずなのに。

人は刺激が強くなればなるほど鈍感になる生き物です。そうして欲はどんどん強くなっていくのでしょうね。幸せも。最初は一緒にいるだけの日常が幸せだったはずなのに次第に幸せが感じなくなって性癖がエスカレートしていくうちに、彼女に愛想をつかされ別れた後に、愛する人を失った悲しみに気づくという失恋男のあれに当てはまるのがウェーバー・フェヒナーの法則です。

参考文献

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