ひかるぶろぐ

マイナスとマイナスをかけるとプラスになる理屈を図解してみた

最近ネットで流れてる「マイナスとマイナスをかけるとなぜプラスになるかどうやって小学生に説明するか((-1)×(-1)= +1 )」を目にした。

確かに何でだろう?とうねうね考えてもんもんとしてたので今回はこっそり書いてみます。結論は出ましたが到るまでに色々考えてきたのでプロセスにもお付き合いください。

 

アイディア1:「グラフ」で考えてみる

「マイナスとマイナスをかける」というのは2つ数字の掛け算なので座標軸で説明できそう?と感覚的に考えました。x軸とy軸です。

 

この場合、x軸もy軸もマイナスなので左下の第3象限に位置します。なぜこれがプラスと言えるのか?第3象限はマイナスじゃない?とか思ったのですが、原点0を通る直線を引いてみました。すると右肩上がりの直線になるわけで算数的に正の傾き。つまり、x軸もy軸どちらも正の方向に増加させていくと直線の値は大きく(プラスに)なっていきます。これと同じ結果になるのは第1象限も。この象限はそもそもプラス×プラスで位置するので直感的にわかりやすい。

 

一方で第2象限と第3象限はx軸がプラスならy軸はマイナス、x軸がマイナスならy軸はプラスの時に位置するわけで、原点0と結ぶと右肩下がりの直線、負の傾きになります。つまりx軸y軸を正の方向に増加させていくと直線の値は小さく(マイナスに)なります。

この結果だけ見るとマイナスとマイスかけた結果プラスになるというのは当てはまりますが、小学生理解できないし全然直感的じゃない。。。ということでボツでした。

 

アイディア2:「数直線」で考えてみる

次は数直線を使って考えてみました。プラスとマイナスの概念を視覚的に捉えやすいので。

 

ひとつずつシミュレーションしてみます。

(+1)×(+2)は数直線では+1という単位を2つ進むことになります。ここでは「単位」とは一回に踏み出す大きさいわば「歩幅」。プラスとマイナスは右か左かどちらの方角を向くかということにしましょう。「〜つ進める」とは歩幅を繰り返せるいわば「歩数」。なんだかすごろくみたいです。

 

同じように(-1)×(+2)は-1の歩幅で2歩進むこと。左を向いて歩幅1で2歩進む。うん、なんだかいい感じ。

 

次は(+1)×(-2)の場合ですが、右向いて歩幅1で-2歩進むことになります。「-2歩進む」というのが少し気になりますね。前に踏み出すのが+2歩なら、-2歩とは後ろ向きに踏み出すというのはどうだろう?マイケルのムーンウォークみたいな。右向いて歩幅1でムーンウォークを2歩すると確かに-2に来ます。

 

最後に(-1)×(-2)の場合。これまでのように考えると左を向いて歩幅1でムーンウォークを2歩すること。すると+2に来ます。

 

なんかいい感じじゃないですか!?

数直線で考える案は本当はもっとチープだったのですが文章書いているうちにブラッシュアップされていい感じになっちゃいました笑。マイナスとマイナスをかけるとプラスになる理屈はこれじゃだめですか?

歩幅とか歩数とか左方向とか右方向とかムーンウォークとか前提ルールがちょっと多い感じはありますが、小学生とカラダ動かしながらやってみたら楽しいし理解しやすいかも!!

 

 

 

アイディア3:「日常生活」で考えてみる

もうひとつ日常生活で考えてみました。グラフとか数直線とか非日常で算数の世界なので直感的に理解できないんじゃないかなと思ったのです(書いてる中で数直線は「歩く」という日常に進化してしまいましたが)。

そもそもマイナスの概念って非日常感が強い。引き算ならいいけど、掛け算や割り算にマイナスを使うことは日常生活でほとんどないと思いました。そこでどうにか日常の出来事に例えてみようというわけです。

あと、やっぱりストーリーで説明できるのがわかりやすいはず。

「モノをもらう、あげる」という日常の場面で考えてみましょう。以下をルールとします。

プラス:モノをもらう
マイナス:モノをあげる

もう一つルールを追加します。「A×B」という掛け算を、、、

A:もらうorあげる約束
B:約束の回数

 

 

肝心の物語はこんな感じです。


ここは小さな小さな動物村。中央集権的な貨幣経済が終焉を迎え、仮想通貨も一時期流行ったものの、「もはやお金いらなくね?物々交換でよくね?」と経済の原点に戻った動物たちはそれぞれが育てる果物を交換し、時には無償でプレゼントしあって仲良く暮らしていました。

ポスト仮想通貨、プレゼント経済で回っているのが動物村。

 

登場人物の一人、ゾウさん。ゾウさんは持ち前の体の大きさと重さを使って果物をすり潰しフルーツジュースの販売を始めた新米経営者。もともとサラリーマンをしていたゾウさんは新卒入社した会社の黒すぎる労働環境に心身ともにすり減らしたころ、たまたま手にしたフルーツジュースに感動し脱サラ。再起をかけて人生の大勝負に打って出たのでした。

 

もう一人の登場人物、ブタさんをご紹介。ブタさんは村一番の果樹園を一代で築き上げ、富と名声を手に入れた人生の勝ち組です。ブタさん果樹園の評判は上々。ブタさんの果物を求めていつも長蛇の列ができています。

もちろんゾウさんもその1人。ゾウさんはなんとか、あの素晴らしい果物をブタさんから仕入れてジュースを作りたいと考えています。ブタさんのくだもので試作をするたびにその思いは日に日に強くなっていきます。もはや、ブタさんのくだものなしではゾウさんフルーツジュースは考えられなくなっていたのでした。

しかし、ブタさんは表向きは果樹園社長ですが裏の顔は億り人。今はなき動物村唯一の仮想通貨アニコイン(ANC)でぼろ儲けしたお金を全てつぎ込んだことで築き上げた果樹園なのでした。お金に価値があった当時に果樹園を作り上げたブタさんは先見の明があります。

そんなブタさんにも秘密が。果樹園経営や果物の栽培には全く興味がなく、ブタさんに代わって果樹園を支えているのは奥さんだったのでした。このことは動物村の誰も知りません・・・。

 

「プラス」と「プラス」の掛け算の事例(+100)×(+1)= +100

ある日、ゾウさんは意を決してブタさんにくだものを仕入れる契約を申し出ます。リンゴ100個を1回仕入れる約束です。フルーツジュースにかける熱意、ブタさんのくだものへの並々ならぬ愛情がほとばしるゾウさんのプレゼンに感動したブタさんは、なんと無償でリンゴ100個(+100)を一度(×+1)プレゼントしてくれることに。喜ぶあなたの手元にはリンゴ100個(=+100)が増えました。ブタさんありがとう、これでおいしいジュース作って村のみんなを喜ばせるよ。

 

「マイナス」と「プラス」の掛け算の事例(-1)×(+365)= -365

ブタさんがプレゼントしてくれたリンゴで作ったジュースは大人気。ゾウさんはお店を軌道に乗せることができました。あの時支援してくれたブタさんに感謝してもしきれません。そこでゾウさんはブタさんに恩返しをすることに。ゾウさんお手製のフルーツジュース1杯を飲める約束(-1)が毎日(×-365)です。ゾウさんの手元から年間でジュースが365杯減ります(=-365)。しかし、ブタさんへの感謝を考えれば安いもの。ブタさんも喜んでくれています。これがプレゼント社会の素晴らしさですね。

 

「プラス」と「マイナス」の掛け算の事例(+100)×(-12)= -1,200

ゾウさんとブタさんはくだもの月間100個、12ヶ月の仕入れ契約を結びました。ところが。約束の日になってもブタさんからくだものが届きません…。果樹園に足を運ぶともぬけの殻になっています。「そんな…」ブタさんのくだものなしにはゾウさんのジュースは作れません。一度に100個の果物を仕入れる約束(+100)が12ヶ月も破られてしまったのです(×-12)。本来であれば年間1,200個ものくだものが手に入るはずでしたがブタさんに契約を反故にされ、1,200個も少ないという結果(=-1,200)に・・・。(続く)


 

これが「マイナスをかける」ということです。約束を破られる(×-12)ことで、手元のくだものは予定よりも少ない数になりました。

 


かわいそうなゾウさんはついに廃業。信頼していたブタさんに裏切られたゾウさんは怒りを通り越して悲しみました。なぜブタさんは果樹園から姿を消したのでしょうか?どうやら、果樹園を陰で支えていたブタさんの奥さんは遊び歩くブタさんに愛想を尽かし出ていってしまったようです。

もちろん奥さんなしでは果樹園は成り立たずゾウさんの元にくだものが届けられることはなかったのでした。

 

最後は「マイナス」と「マイナス」の掛け算の事例(-100)×(-1)

そんなある日、ゾウさんの元へブタさんがやってきました。ブタさんはものすごい剣幕でゾウさんに詰め寄ります。一番はじめに提供したくだもの100個の見返りをよこせ、と。あれはプレゼントではない、ツケていただけだ、出るとこ出てもいいんだぞ!語気を荒らげるブタさん。

あまりの剣幕にすっかり萎縮してしまったゾウさんの大きな体が小さく見えます。しかし廃業に追い込まれたゾウさんには見返りを用意する術はありません・・・。

それを知ってか知らずかブタさんは連日ゾウさんの元へやってきては取り立てようとします。精神的に追い詰められたゾウさんはくだもの100個分の見返りを支払うことを覚悟し、近所の動物たちに頭を下げてまわり、なんとか見返りとして魚100匹を用意したのでした。

その時、悪い噂を聞きつけた犬のお巡りさんによってブタさんは逮捕。罪状は恐喝罪です。

その一報を伝え聞いたゾウさんは一安心。もう、怖いブタさんの顔を見ることもなくなります。刑の執行を終えるまでは。もちろん見返りを渡す必要もなくなり、ブタさんに渡すはずだった100匹の魚が手元に残ったのでした。


 

これがマイナスとマイナスをかけるとプラスになる理屈です!ブタさんに魚を100匹あげるはず(-100)×(+1)だったが、その約束を守る必要がなくなりました。これは(-100)×(-1)です。あげる約束をしていたけど約束が必要なくなり、予定よりも魚100匹多く余ったから+100なのです。

 

 

その後、ゾウさんは余った魚でひもの屋を開業して事業は順調。幸せに暮らしているそうです。めでたしめでたし。