こんばんは。ひかるです。
今回は自家製明太子を作りました。明太子は塩漬けにしたタラコを香辛料などの調味料で浸ける保存食です。保存食とは言えど、水分量が多いので1〜2週間で食べきるようにします。
このエントリーでは自宅キッチンで明太子を作る方法と気をつけるべきことをまとめます。
- サマリー
- マダラの生タラコでも美味しい明太子に化ける
- 「生タラコ」→「塩漬け」→「明太子」の3ステップ
- 寄生虫アニサキス対策として「冷凍」する
- 「加熱用」の生タラコで作ることの注意点も
CONTENTS
自家製明太子に使うのは「マダラ」の生タラコ
今回用意したタラコはマダラのもの。本来、市販の明太子はスケソウダラですが自分で作る場合はマダラが魚屋さんで比較的手に入りやすいです。塩漬けにされていない生のものです。
マダラのタラコはスケソウダラと比べると「大きい」「表皮が黒っぽい・厚い」という違いがあります。サイズが大きいためちゃんと浸かるか心配でしたが、仕上がりの味は全く問題なし。また表皮の色や厚みは見た目として少し抵抗があるかもしれません。ただ、食す時に皮を取り除いてしまえば本家との違いを感じとれる人はごく一部と思います。
明太子の仕込みは「生タラコ」→「塩タラコ(タラコとして市販されているもの)」→「明太子」の3段進化です。ポケモンと一緒。
生タラコの下処理
まずタラコを塩で脱水します。タラコ表裏に満遍なく食塩をパラパラと。塩重量はあまり意識しなくてOKで全体的に塩がかかるようにします。このあたりはカラスミ(ボラの卵巣)づくりと同様。魚類は身も内臓も肉と比べ腐敗が早いので、余分な水分を抜くことで保存性を向上させます。
1時間経過後、浸透圧効果でタラコ内部から水分が出てきます。まだタラコ表面に塩と出てきた水分がついているのでキッチンペーパーで優しく拭き取ります。
タラコを塩漬けにする
次は生タラコを塩漬けにします。塩漬けによって余分な水分を飛ばす(水分は腐敗の原因)、水分活性の低下(微生物の活動を抑える)ことで食品が腐りにくくなり保存性が高まります。
日本食では漬物や干物などなどで多用される調理方法です。海外でもハムとか。
塩漬け液を用意します。小鍋に料理酒と食塩を加え火にかけます。
- 料理酒:タラコ重量の117%前後
- 塩:タラコ重量の25%
塩分量が多いので常温では全て溶けきりませんが、溶液(今回は日本酒)の温度を高めることで日本酒中に溶かしきります。沸騰後弱火にして約5分ほど。アルコールをしっかり飛ばして食塩も溶かしたらしっかり冷まします。
塩漬け液が熱いままタラコを投入してしうとタラコが茹で上がってしまうので注意。
昆布を加えました。グルタミン酸のうま味をプラス。塩タラコとしても美味しく食べられるように。
ラップをして冷蔵庫で一晩(12時間ほど)。
12時間経過後。表皮が白っぽくなり、タラコの弾力が増しています。タラコ内部の水分が抜けて締まっている状態。ここまでで塩タラコの完成。
塩タラコを明太調味液で漬ける
それでは最終工程です。明太子のあのなんとも言えない辛味と風味をもたらす調味液を用意して浸けます。
明太調味液の配合は次の通り。今回これでうまくいきましたが好みによるので改善の余地あり。
- 日本酒:タラコ重量(以下略)の150%
- 砂糖:15%
- かつお節:5%
- 唐辛子:20%
- 醤油:10%
- 昆布:2%
我が家にたまたま粉唐辛子がなかったので輪切りタイプをすりつぶしました。結果、問題なかったのですが、完成した明太子に付着する唐辛子が大きいと辛味を感じやすいのでさらに細かい粉唐辛子の方が食べやすいかもしれません。
まず小鍋で日本酒と砂糖を加え沸騰後弱火5分でアルコール飛ばし。
次にかつお節で出汁をひきます。再沸騰させてかつお節を投入、2分ほどで出しガラを取り除きます。さらしを使うと濾す必要がないので便利です。
火を止めたら残りの唐辛子、醤油、昆布を加えてしっかり冷まします。
ジップロックに塩漬けタラコと明太調味液を入れて冷蔵庫へ。だいたい5〜7日間ほど浸けます。
つけあがった後の明太子。キッチンペーパーで表面に水気を拭き取ります。みてくれが悪いのはマダラの宿命。表皮の黒っぽさが気になる人は気になる。
自家製明太子で気をつけたい怖い「アニサキス」対策
生ものを食べるということは常に食中毒のリスクがあるものです。特に魚類の場合はアニサキスという寄生虫のリスクがあります。アニサキスは魚やイカの内臓に寄生していることがあり、誤って食物と一緒に食べてしまった場合、激しい腹痛や嘔吐に苛まれます。怖い。
対策としては食材を加熱してしまう方法もありますが、せっかくの明太子が焼きタラコになっちゃうので冷凍するのがベターです。アニサキスは全魚類に100%寄生しているとは限りませんが、万が一を考えて対策をします。自家製明太子をつくる場合は必ず冷凍処理を施してください。危ない。
ラップに包んで冷凍庫で24時間以上凍らせます。
かっちかちの明太子。冬場の常温や冷蔵庫でゆっくり溶かしますが水分が出てくるのでキッチンペーパーとラップで包みます。
明太子にはやっぱり白飯(+マヨもよし)
塩漬けにされ、辛い液体に浸され、冷たく冷やされて。ようやく自家製明太子の完成。
白飯と一緒に。
気になるマダラ特有の黒っぽい表皮は外してあげれば本家スケソウダラの明太子と遜色なし。サイズが大きいからといって大味というわけでもなし。美味しい明太子。今回は塩漬け時から昆布を使っていたのでダシの香りが効いています。
こうして
こう。明太マヨネーズもいいですよね。じゅるり。
焼き明太子もすごくイイ。これには日本酒ぬる燗で。
自家製明太子づくりで理解しておいてほしいこと
今回、マダラの生タラコを使って明太子を作りました。実はこの生タラコは「加熱用」でした。
魚屋さんで手軽に手に入るのは「加熱用」の生タラコです。「生食用」ほどの鮮度の良いものが小売店に並ぶのは貴重です。さて、気になるのは「加熱用でつくった明太子でお腹を壊さないか」ですね。結論、僕は問題ないと考えますが、あくまで自己責任でお願いします。実際、自家製明太子を1週間食べましたが体調に全く変化はありません。
なぜ「加熱用」を加熱せず食べても問題ないと考えるか。
そもそも、「生食用」で販売されているものが100%安全ではなく、魚肉刺身など生もの全般は少なからず食中毒のリスクはあります。※生牡蠣の場合は養殖の仕方が異なるため「加熱用」の生食はNGのようですが。
※「生食用」の牡蠣は菌やウィルスの少ない沖合で養殖。「加熱用」は栄養豊富で生育の早い沿岸で養殖されるが菌やウィルスが多い、という違いがある
牡蠣は特殊ですが、魚類の「加熱用」「生食用」の違いは鮮度や(アニサキスの有無)が関わっているようです。当日仕入れた生アジは「生食用」だが、翌日には「加熱用」の生アジとして販売される、ようなイメージ。なので、「加熱して食べれば大丈夫。生食(販売されている状態のまま食べる)は安全の保証ができない」というニュアンスのような気がします。昨日買ってきたアジを刺身で食べてもお腹を壊さないのと同じ感覚かと。魚屋さんに「加熱用で明太子作っても大丈夫?」と聞いても「大丈夫だよ」とは答えず「(食あたりリスクはあるから)加熱してね」となるはず。
補足しておくと、今回の「加熱用」生タラコについて調理過程や完成した明太子から、色や香りに嫌なもの(腐敗臭)を感じたら食べるの中止にするつもりでした。もちろん販売されているまま生食をしようとは僕も思いません。ただ、今回の場合は塩漬けにして冷凍して、と調理工程を経ています。完全な生食ではなく、ある程度調理しているともいえます。
もっというと、市販の明太子の方が時間が経っているのではとも思います。水揚げ〜加工〜出荷〜販売〜食卓の時間経過です。自家製明太子の場合、途中の過程が省略されるため比較的新しめなのでは・・・と。※勘違いしていたらごめんなさい。
そんなこんなで結論づけると、(鮮度が悪すぎない)加熱用の生タラコで明太子を作っても問題ないと考えます。が、あくまでも僕の持論によるところが大きいので自己責任であることを書いておきます。
今回の明太子づくりは次の外部リンクを参考にアレンジしました。
>>全国水産加工業協同組合連合会「塩タラコ、辛子明太子の製造工程」
紹介したアイテム
ひかる