こんにちは。ひかるです。
今日は梅雨時が旬といわれるイワシを使った料理。イワシの梅煮です。
イワシなど魚独特の匂いが強い青魚は梅干しと一緒に煮るとにおいが軽減されるというウソのような本当の話があります。
魚のにおい=アルカリ性
僕は子供の頃は魚より肉が好きでした。理由はやっぱり魚のにおい。
刺身にしても煮魚にしても、どうしても生臭い香りが得意ではなくて。同じ理由で魚が苦手な子供はたくさんいると思います。
自分で料理するようになった今は、新鮮な魚を 、下ごしらえをしっかりすれば、びっくりするほどにおいがしないことを知ったのですが。。あのころの僕に教えてあげたい。
あの魚独特のにおいは、「トリルメチルアミン」という成分由来です。もっとたどると、魚が水揚げされた時は「トリルメチルアミンオキシド」なのですが、時間が経つにつれトリルメチルアミンという成分に変わっていきます。
トリルメチルアミンオキシド → トリルメチルアミン
そしてこのトリルメチルアミンはアルカリ性。これがとっても重要で、においのあるアルカリ性の物質に酸性の何かを加えて中和させると、においがなくなるという科学があります。
夏場の生ゴミの匂いも同様にアルカリ性なので、お酢を水で割った液体で湿らせたキッチンペーパーなどを生ゴミの中に入れると、瞬間的に(それもある程度持続的に)生ゴミのにおいがしなくなります。ポイントはある程度お酢を水で割ること。お酢だけだと酸性に傾きすぎてしまいお酢臭くなります。
アルカリ性・酸性の話をもう少しすると、魚は水揚げされて命が途絶えると死後硬直が始まります。この時に乳酸が産生されて酸性に傾く。時間が経つにつれ死後硬直が解けてくると、今度はアルカリ性に傾き、あのにおいが発生してきます。
そんなわけで、梅干しのクエン酸を代表とする有機酸(酸性)がアルカリ性であるトリルメチルアミンと合わさることで中和されて魚特有の香りが抑えられるというわけです。
同じように、サバやコハダを酢で締める理由のひとつはやはりこの中和によるにおいの軽減があります。
イワシの梅煮と言っても、酸っぱくならないから大丈夫
お魚屋さんで丸々と脂の乗ったイワシが手に入りました。
頭と内臓を取って軽く血合いを掃除した後、背骨に沿ってキッチンペーパーを詰めて調理するその日まで冷蔵庫へ。
比較的足の早いイワシですが、こうして腐敗の原因(水分や血液)を取り除いてあげると、2〜3日は余裕で大丈夫です。もちろんにおいもほとんどありません。
結局、梅煮にしちゃうので少しぐらいにおいが残っていた方が梅煮のありがたみがよくわかるのだろうけど、梅煮はにおい消しの役目がなくとも味わい深くて好きです。
煮魚用の醤油だれに自家製梅干しと生姜加えます。
>>実家の煮魚といえば我が家では決まって「黒カレイの煮付け」
調味液が沸騰するとふつふつと湧き上がってきます。落とし蓋をしておくと蒸発が防げて汁に浸っていない魚上側にも煮汁が触れます。弱火でコトコト。煮崩れしないように。
煮汁がほどよいとろみが出てきたら完成。刺身でも食べられる鮮度のイワシなので火は入れすぎないでふっくらと。
煮汁の甘味とイワシの芳しい香り。煮魚にするととたんに食欲をそそる魚のいい香りが引き立ちます。もちろん、梅干しをかじってもとっても美味しい。
ひかる