こんにちは。ひかるです。
燻製ハムを自家製してみました。
結論から書くと、ハム作りはめちゃくちゃ手間がかかりました。。手間ひまのことだけを考えると買ってきた方が断然よし。
それでもハムを手作りしちゃうのはもう病的です。仕込んでいる時間が愛おしく、完成したハムを食べた時の楽しみがたまりません。
時間がかかる分、出来上がった時の喜び・達成感はなかなかのものがあるので、ハムづくりの手間ひまを楽しめるどMなあなたもぜひいかがでしょうか。
CONTENTS
ハムが保存食に成り上がるメカニズム
作り始める前に、燻製ハムのうんちくからまとめます。
燻製ハムは保存食です。生の状態の豚肉(ハム原材料)と比べて、かなり長時間の保存ができます。僕はこれが不思議でした。同じ豚肉なのに。
それはもちろんハムの製造工程に秘密があり、その工程は割とシンプル。
- 塩漬け
- 塩抜き
- 燻製
自家製ハムづくりに知っておきたいコト1:塩漬け
豚肉を濃度30%もの塩水の中に浸すことで、肉の水分を脱水させます。魚の干物やいかの塩辛などと同じように食材の水分量を減少させることで腐りにくくなるという理屈です。
食材に塩をあてることで水分が抜けるのは浸透圧というものが働いているからでこの辺りを知っておくと料理がグッと理解できるようになってきます。
浸透圧を利用したおひたしやマグロの刺身の醤油洗いはなかなか美味しいのでおすすめです。
自家製ハムづくりに知っておきたいコト2:塩抜き
次の工程が「塩抜き」。豚肉を脱水させることで保存性は高まるものの、通常0.8〜1%濃度がヒトにとってちょうどいいところに30%濃度の塩分はあまりにも塩辛すぎて食べられないので塩分濃度を下げる目的で塩抜きをします。
ちなみに、塩分濃度0.8〜1%というのはヒトの体液と同じ濃度。常に一定濃度に体内を保つためにこれよりも高いものを「塩辛い」と遠ざけ、低いものを「薄い」と感じるように味覚はプログラミングされています。
>>【レビュー】計量スプーンはおしゃれ+実用性!貝印の「1ml」は料理を上手くする
美味しくハムを食べられるようにするための塩抜き工程。ただ、せっかく豚肉を脱水させたのに、水に中にさらすことで豚肉の中に水分が戻ってしまう(はず)。それでは塩漬けにした効果が薄まるのですが、このあとの燻製でそれを担保します。
自家製ハムづくりに知っておきたいコト3:燻製
最後に燻製の工程。ハムを焼いた時のあの独特の香りが食欲をそそります。
燻製(燻煙)は文字通り、木材を高温で熱した時に生じる煙を食材に当てる作業のこと。燻煙は食材に香りをつけるためのものだけではなく、豚肉表面の微生物を殺菌させる効果があるとのこと。さらに、新たな雑菌が豚肉に付着するのを防ぐ効果まであるとか。
煙の分子中にホルムアルデヒドやフェノールが発生しており、生き物の表面にあるタンパク質と反応・変性して微生物が死滅するため、食べ物が腐りにくくなる。またアルデヒド類がタンパク質と結合することで強い皮膜を作り、雑菌の侵入を妨げる。
リンク:Wikipedia|燻製
燻製は殺菌をするのと同時に、高温の煙を食材に当てることで加熱処理をし、その間に食材の乾燥もさらに進めます。
家でも大丈夫な自家製ハムの作り方
燻製には「温度」と「時間」の違いで様々あります。
- 熱燻:80℃以上・短時間
- 温燻:30〜60℃・長時間
- 冷燻:15〜30℃・短時間
家庭ではフライパンなどを使えば熱燻製が簡単です。味玉を香り高い「くんたま」に仕上げたり、スモークチーズで赤ワイン。スモークチキンなんかは最高にご飯が進みます。
>>燻製器いらず。ガスコンロとフライパンで作る自家製スモークチキン
比較的簡単な熱燻なのですが、「香り付け」はできても短時間調理のため「殺菌」まではすることができず、熱燻で仕上げたものは保存食にはなりえません。
今回は保存性の高いハムを目標とするのでしっかりと殺菌させる温燻で仕上げます。
用意したのはバラ肉と肩ロース。それぞれベーコンとハムにします。
塩漬けにするために用意するのはソミュール液。この時に香り高いスパイスをいくつか加えると出来上がりのハムも美味しくなります。
今回はスパイスを用意できなかったのでクレイジーソルトで代用します。あとはブラックペッパー(ホール)を加えました。
あ、塩と砂糖を間違えて加えてしまうととんでもなく甘いハムができるのでご注意ください(経験済み)。
豚肉とソミュール液をジッパーバッグに入れてそのまま1週間ほど冷蔵庫へ。肉全体が浸かるように定期的に上下を返して保存します。
ソミュール液に漬けて1週間。浸透圧の効果で豚肉から水分が抜けているのでソミュール液が赤くなっています。
次に塩抜きをして豚肉の塩分濃度を下げます。水を張ったボウルに豚肉を浸します。豚肉の中にある塩分が染み出し、すぐに水がしょっぱくなるのでその都度新しい水に交換しながら塩抜きします。水と塩の関係に溶解度というものがあって、水に溶ける塩の最大量があるため定期的な交換が必要です。
ここでの8時間は目安。豚肉の大きさによっても塩の抜けるスピードは変わるので、一部を切り取り焼いて試食してみて食べられる塩分濃度まで下がっているのが確認できるまで塩抜きを続けます。
塩抜き工程が終わると色がグレー味を帯び、水分を吸って肉がぶよぶよとします。
ここからさらに豚肉を脱水させるためにピチットシートで8時間ほど冷蔵庫へ。
ピチットで8時間後の豚肉。
表面を見ても水分がしっかり抜けているのが分かります。
そして、最後に燻煙工程です。高温短時間の熱燻であればフライパンでできますが、今回は中温長時間の温燻で仕上げます。
そのための燻製器・燻製BOXが必要になりますが、段ボールがあれば燻製器は作ることも。
段ボールの底に100円ショップのアルミホイル+ステンレスバッドを敷きスモークウッドで燻煙にします。段ボールの上部から食材を出し入れ。
中は二重構造。100円ショップのバッド用の網をおさめ、上の網には食材を置きます。食材から脂が落ちてくるので下のバッドにアルミホイルを敷いて底面の木材に脂が落ちないような仕掛けに。
スモークウッドは数百円ほどで手に入ります。一度に80g程使い切ります。さくらやりんごなどスモークウッドの種類は様々あるので、燻製沼にハマると大変なんだろうなあ。。
ガスバーナーなどでスモークウッド に火をつけ、段ボール内を60℃ほどに保ち3時間そのまま。
ここはかなり注意なのですが、文字通り燻煙によって煙が大量発生します。室内の換気をしっかりしないと煙探知機が反応して大変なことになると思われます。
そもそも、室内ではなく屋外でやる作業なので室内での燻煙はオススメできません。自己責任の元、換気扇フルパワーの真下で、さらにサーキュレーターで煙を換気扇に送り窓を開けて風通しよくするなど、万全の状態で。探知機作動ならまだしも、密室で体調異変が起きることは絶対に避けてください。
3時間燻した自家製ハムとベーコン。燻煙で茶色く色づいています。
最終仕上げとして豚肉を加熱。お湯で茹でる方法もありますが、身が硬くなりすぎてしまうので低温調理にしてみました。劇的な食感の違いはなさそうですが、低温調理にするとボイルするのと比べ豚肉の塩分残量が増えるので塩抜きはしっかりすること。
自家製ハム・ベーコンの断面は綺麗なピンク色。
そのまま食べても大丈夫ですが、網で焼くと脂を柔らかくなあり香りが一層引き立ち美味です。
ロッキンで食べた五浦ハムのイメージでサイコロ状に。
>>ROCK IN JAPAN FES.2018で遊んできました
そのまま食べても美味しい自家製ハムとベーコン。後日料理してみました。薄くスライスしてフライパンで炒める。豚肉からじんわりと脂が滲み出てきます。
いつものカルボナーラが燻製の香りが引き立ちます。うまい。
チャーハンも自家製のベーコンやハムが入ると一層プロの味に。たまりません。。
>>自宅でパラパラのチャーハンが食べたい!100%成功する作り方
しかもこの自家製ハムたちは保存がきくので、しばらくは楽しめます。そのまま網焼きにしてビールをグイッと。細かくしてカルボナーラやチャーハンに。ハムエッグなんかもやりたいなあ。
紹介したアイテム
- クレイジー ソルト 113g
- ジップロック フリーザーバッグ M 45枚入
- オカモト 業務用ピチット レギュラー 32R(32枚ロール)
- コールマン(Coleman) スモーカー ステンレススモーカー
- ソト(SOTO) スモークウッド さくら 240g(80g×3)
- Iwatani(イワタニ) カセットガス トーチバーナー CB-TC-OD
ひかる