こんにちは。ひかるです。
魚屋さんで綺麗な真鯖が売っていました。今回はこの真鯖をしめ鯖にします。
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魚屋さんで一本300円ほど。鯖は安価なのが魅力の一つですね。余談ですが、鯖のカラダは筒状でなんだかとても好きなカタチ。
しめ鯖の科学
鯖はとても足の早い魚です。また、食中毒のリスクもあり捌いたそのまま刺身として生食をするのは少ない魚。一方、マグロなどの大型魚は1週間以上も熟成させても生食ができる(むしろ寝かせた方が美味しい)のは、同じ魚なのに不思議です。
調べてみたところ、鯖に含まれる「ヒスチジン」というアミノ酸が原因のようで。本来このヒスチジンは悪者ではないのですが、鯖の死後時間が経つにつれて「ヒスタミン」に変化します。新鮮でない鯖には多量のヒスタミンが生成されており、この鯖を食べることでヒスタミン中毒になってしまうというメカニズムが一つ。このヒスチジンは鯖の水揚げ後にヒスタミン生成菌が付着することで酵素分解が進みやすくなります。これが足の早い理由なのだとか(と、ひとまず自分を納得させます)。
もうひとつ鯖の生食が少ない理由は寄生虫「アニサキス」。マグロなど他の魚に比べ鯖やイワシなどの青魚に潜んでいる可能性が高く、身に潜んでいる生きたアニサキスを気づかずに口にしてしまうと身体がアレルギー反応を起こしてしまいます(僕も体験済み)。
最も、ヒスタミン中毒は生食に限らず、加熱してもNGだしマグロでも生成されるもの。なぜ鯖の足が早いのかはイマイチ合点がいっていません。
しめ鯖の科学1:腐敗のスピード
鯖は「ヒスチジン」による酵素分解によって腐りやすくなるわけですが、しめ鯖という調理(下ごしらえ)はこの腐敗を遅らせるためのものです。
酵素分解が進むと腐敗菌の増殖が進みますが、鯖を酢で締めることでこの腐敗菌の増殖を遅らせることができます。
もっというと一般的にしめ鯖は、鯖を酢で締める前に塩をあてます。塩をあてることで鯖からは水分が抜けますがこれも大切なポイント。
牛や豚などの肉と比べると魚は海の生き物であるから水分量が多く、この水分というのは腐敗菌の増殖を早めてしまいます。肉を塩漬けにしてハムにすると保存期間が延びるように、そして魚の干物が保存食であるのと同じように、しめ鯖を作る過程で脱水させること(そして自由水が減少すること)は腐敗を遅らせる、理にかなっているわけです。
水分と腐敗の関係についてはこちらにまとまっています。自由水と結合水、勉強になります。
しめ鯖の科学2:香り
塩と酢による力で保存性が高まる他にもしめ鯖には香りをよくする効果もあります。
魚は腐敗が進むと独特の香りを放ちます。生臭いにおいです。このにおいの原因は「トリルメチルアミン」という物質で、腐敗が進むと「メチルアミン」に変化しにおいを発します。
酢(酢酸)を加えると、トリルメチルアミンと反応し、メチルアミンへと変化しにくくなるため魚特有の生臭くなりにくいというわけです。
砂糖で甘みをつける我が家の「真鯖のしめ鯖」
我が家のしめ鯖には砂糖を加えます。塩と酢があればしめ鯖はできますが、どうしても酸味が強くなってしまいがちで、これは僕の好みではなく。砂糖の甘味を加えるととても食べやすいポップな味わいに仕上がります。
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3枚におろした真鯖。この時腹骨を逆さ包丁で立たせておきます。今回は半身をしめ鯖に、もう一方は一夜干しにします。
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たっぷりの塩を両面に振ります。ここでは鯖を脱水させることが目的なので塩の量はしっかりと。塩っ辛くなることはありません。そのまま冷蔵庫で2時間寝かせます。
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しめ鯖づくりは一時停止。残った鯖の半身を一夜干しにします。塩分濃度3%の塩水に30分間浸して、
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干し網でそのまま一晩8時間ほど。干し網はダイソーでも手に入ります。
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翌朝、表面がパリッと乾燥して、色味も酸化して黒ずんでいます。今晩のメインディッシュです。
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ラップで巻いて夜まで冷蔵庫へ。冷凍してもいいですね。
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セラミックの焼き網を使って皮目をパリッと焼き上げると美味しい。
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今回の真鯖はあまり脂が乗っていなかったので、焼き魚にした時のジューシーさとかうま味は少し弱め。しめ鯖に期待。
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さて、しめ鯖作りに戻ります。冷蔵庫から取り出すと、塩を当てたことで大量の水分が鯖から出ています。こいつが腐敗やにおいの原因になっていたわけですね。
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鯖全体を軽く水洗いして、表面の塩を落とします。次に「水:酢 = 1:1」で薄めた酢で5分間漬けます。酢洗いというやつ、この後しっかり酢に漬け込むのですが肩慣らしといったところでしょうか。
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酢洗いした鯖をそのまま「氷:酢 = 3:10」の中へ20分間。ここに、砂糖を酢重量の4%ほど加えます。砂糖の甘味が酢の酸味を和らげ、鯖のうま味を強めてくれます。
漬け込む時間はあくまで目安で、鯖の大きさや油の乗り方で多少時間が変わってきます。小さく切って味見しながら。
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ここまででしめ鯖はほぼ完成ですが、最後に必ず冷凍処理をします。寄生虫アニサキス対策です。家庭用冷蔵庫の冷凍室は温度が高めなので、少なくとも48時間以上は冷凍すること。
すぐにでも完成したしめ鯖を食べたい衝動に駆られますが、この工程を怠った先に待ち受けるのは激痛と多額の出費。
アニサキスは身体にもお財布にも痛いので絶対にご注意ください。。僕は怠ったために、たまたま潜んでいたアニサキスに苦しめられました。
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しめ鯖を食べる時には鯖の皮をパリパリっと剥がしながら切りつけます。
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薄く切ってちびちびと大切にいただきます。酢のキリッとした感じが砂糖の甘みで和らぎ、とても食べやすいしめ鯖です。
アニサキスに注意してお楽しみください。
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