低温調理チャーシュー「寝かし効果」の比較検証

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こんにちは。ひかるです。

ちょっとの知識があれば誰でも簡単に美味しいチャーシューがつくれる低温調理法。

数年前から豚肩ロースや鶏むね肉の低温調理を楽しんでいましたが、最近ある発見がありまして。

「低温調理後、寝かせる時間で食味に変化があるのではないか」

ということでした。食材を寝かせると何かしら変化があるのは料理の世界では経験則的にわかっているので、特段新しい発見ではもちろんないのですが、低温調理したチャーシューを寝かせるとどんな変化があるのかについて自分なりに検証してまとめることにしたのでした。

今回の「寝かし効果」検証では、チャーシューの経過時間毎の断面図を比較します。これまでの肌感覚では、チャーシューを寝かせれば寝かせるほどムッチリとした食感に変化します。この仮説を検証するわけです。

残念ながらラボのような比較検証するための「測定器械」はありませんので、数値化することはできません。「目視」と「実食」による完全なる主観的な観察になることをあらかじめご承知ください。

 

「寝かし効果」検証その1:豚肩ロースを低温調理してチャーシューをつくる

検証をするにあたってまずはチャーシューをつくります。仮設として、寝かし効果が最も高そうな豚肩ロースを使います。重量2%分の食塩で塊肉全体にまぶします。本来、人間は1%塩分が「ちょうどいい」のですが、ここでは味付けというよりも「脱水」がメインのため2%食塩です。

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2018年4月24日

 

 

冷蔵庫でラップをして1時間ほど放置。低温調理前に肉から水分を抜いておくと、チャーシューが引き締まったむちっとした仕上がりになります。

 

あとはジッパーバッグに入れ密封。60〜63℃のお湯の中で約1時間。肉の中心温度が60℃に達すれば加熱完了。食べても問題ありません。

 

「寝かし効果」検証その2:低温調理「直後」の豚肩ロースチャーシュー

さて、ここからが本題。完成した低温調理チャーシューをカットしてその断面を観察していきます。コンデジで撮影していますが、なるべく画像の明暗に差が出ないよう、夜間 and 間接照明下にて撮影。チャーシュー断面の色合いや水分量などが比較したいところです。

 

まずは低温調理直後のチャーシュー。断面はジューシーな質感、色合いはピンクの発色です。湯せんから取り出したばかりということもあり、表面温度は60℃前後と高いことが影響していそうな感があります。

食感ですが、噛むたびに水分(肉汁)が出てくるような感覚、「弾力が強く、噛み応えがあります。

 

「寝かし効果」検証その3:低温調理「14時間後」

冷蔵庫にて14時間寝かせました。14時間寝かしは、夕方(18時)に作って、翌日の朝ごはん(8時)に食卓に並ぶイメージです。

「直後」の豚肩ロースチャーシューと比べると、だいぶ変化が起きています。冷蔵庫保管によって肉の温度が大幅に低下(60℃ → 5℃)したことが影響していそうです。

「直後」との比較で行くと、肉の脂身部分が白くクッキリ鮮明になっています。赤身部分はピンク → 暗い色合いに変化。表面の水分を目視にて観察できますが、「直後」に比べ減少している印象。

「直後」と同様、一部に血の塊のようなものが見られます。これは血合いというもので血液が筋肉などの組織の中で固まったものです。加熱していれば全く問題なし。この血合いは赤い鮮明な発色をしています。

 

「寝かし効果」検証その4:低温調理「24時間後」

次はまる1日寝かせた低温調理チャーシューです。

※画像は前2枚と「表裏逆転して」撮影。失敗。

 

全体的な色合いに大きな変化は見られません。ただ、「12時間後」の右上に見られた血合い(「24時間後」では左上)の発色が変わりました。ほとんど目立たず赤身部分とほぼ同じ色合いです。血合いが目立たなくなったので、血合いの存在が気になる人にとってはベターな変化かもしれません。

表面の水分量はさらに減少した模様。わずかながらですが。

 

 

「寝かし効果」検証その5:低温調理「50時間後」

さて、最後に低温調理「50時間後」の豚肩ロースチャーシューです。約まる2日寝かせたことになります。

「24時間後」との比較でいくと、かなり微妙な変化です。まず「脂身」と「赤身」の色合いがかなりはっきりしています。脂身はしっかり白く、そしてきめ細かく発色している印象。赤身もピンク → 暗いピンクというこれまでから、また少し「明るいピンク」に戻り鮮やか、生ハムのようなイメージになりました。

前3つ(直後・12時間後・24時間後)との比較では、透明感が減少しています。前3つは透明感があり肉が透けて皿の模様がみえそうな感覚でしたが、今回の50時間後には「透け感」が感じられません。カットの厚みは揃えているので肉の厚みによる変化ではありません。

この「透け感」に影響しているのは「肉表面の水分量の多寡」かと考えます。水分量が多ければそれに反射してキラキラとしやすく(≒透け感がある)、この点「50時間後」は水分量が少ないために光の反射が少なく透け感を感じにくくなったのではないかと。

 

 

「直後」と「50時間後」を比較すると変化感はとてもわかりやすく。色合い、水分多寡による透け感、脂身のきめ細かさなどに違いがあることがよくわかります。

「12時間後」から食感について書きませんでしたが、時間が経てば経つほど「サクサク」とした食感に変化しています。「直後」では強い弾力を感じられた脂身が、少ない力で嚙み切れるようになって食べやすくなりました。

 

「直後」と「50時間寝かし」低温調理チャーシューの使い分け

低温調理直後か、50時間寝かしたチャーシューか。どちらが好みか個々人によって分かれそうです。

僕は「演出したい方向性」で使い分けます。

オーブンから出したてのローストポークのようなアツアツ「出来たて感」を演出するときは、低温調理直後のチャーシューを使います、表面を炙り焦がすことで香ばしさを醸し、ジューシーで食べ応えのある食感を楽しみます。

一方で生ハムのような、冷たいまま「熟成感」を演出するときは、24〜50時間寝かした低温調理チャーシューを使います、断面のキメ細かさが美しくサクサクッとした食べやすい食感がつまみとしてベターに感じるためです。また、自家製ラーメンでも「熟成」を使います。温かいスープに浸すことでチャーシューの脂身が溶け柔らかくなりますが、寝かせたものの方がやはり噛み切りやすく、ラーメンのトッピングとして主役である麺を邪魔しないからです。

こう書いてみると、「出来たて」はチャーシューが主役として使いたいとき、それは往往にして白飯に合わせられて、「熟成」はあくまでも脇役として使いたいとき、麺やお酒と合わせられるという分け方ができそうです。

 

加熱によるタンパク質の変性に違いはないはずなのに、寝かせることで食感に変化があるというのはとても面白いところです。”出来たて”低温調理チャーシューは、ステーキの焼き方でいうところの「レア」に、”熟成”低温調理チャーシューは「ミディアム」の食感に近づいていく、というようなイメージでしょうか。

人に振る舞ったところ、万人ウケしやすいのはいまのところ後者です。低温調理チャーシューは寝かせるほど「ポップ」になるという帰結。

 

ひかる




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ABOUTこの記事をかいた人

2013年大卒。社員3名零細スタートアップベンチャー新卒入社。組織開発コンサルに従事後、17年12月末退職。収入0からリスタート。好きなことやりたいことに素直に!ブログを綴りながら生きていく!人生実験してます。