こんにちは。ひかるです。
昨日はクリスマスでしたね。我が家では一足早く23日にクリスマスディナーを作りました。キリシタンでもなんでもありませんが、楽しい行事には手を出します。
クリスマス料理っぽいものとして、彼女がラザニアを作ってくれるとのことで、僕の担当は肉料理。ローストビーフとローストポークを作ることにしましたが、日頃から赤提灯系居酒屋料理がどうのこうの・・・言っている僕としては少し和風にアレンジしてみました。
ローストビーフを昆布締めでさっぱりと、ローストポークは味噌漬けで濃厚な感じにしてみました。
サマリー
- 肉を塩漬けにして余計な水分を抜く
- 牛肉は昆布、豚肉は味噌ベースの調味料で1日漬ける
- 低温調理すればしっとり食感に。オーブンも必要なし
- 最後に表面を焦がしてメイラード反応
塩漬けで水分を抜く
今回はいつものローストビーフ・ローストポークとは作り方を変えてみました。最近カラスミに挑戦したのですが、それと似たような工程にしました。実験です。
いつもと作り方を変えた部分として塩漬けと塩抜きの工程。普段は塩漬けにせず調味料と一緒に加熱調理に入ります。
カラスミづくりではボラの卵巣を塩漬けにすることで浸透圧の効果で水分が抜けます。食品は水分が抜けることで腐りにくくなり保存性が高まります。その代わり、カラスミ内部に塩分が浸透するため塩っ辛くなってしまうので、酒や出汁などを合わせた調味料に漬けて塩分を抜く、という一連の工程があります。真水の中で塩抜きする方法もありますが、調味液の中で塩抜きすることでカラスミ内部から塩が抜けると同時に調味液が染み渡るという理屈です。
「塩漬けで水分を抜き、調味料で塩抜きすることで味を染み込ませる」ことが僕にとって新しく、肉でもうまくできるかも?ということで実験してみることにしたのでした。
上が牛肉(もも 158円/g)で、下が豚肉(肩ロース 108円/g)。各400〜500gぐらい。食べる人数としては1人70〜100gぐらいを目安にするといいと思います。肉のハナマサで買ってきました。
普段の料理で僕は味付けの塩分量として食材重量の1%を推奨しています。
>>【レビュー】計量スプーンはおしゃれ+実用性!貝印の「1ml」は料理を上手くする
今回は味付けではなく脱水が目的なので多めの食塩を刷り込ませます。目安としては肉重量の4%ぐらいとします。
ピチットシートを下に引いて冷蔵庫で1日寝かせます。ピチットシートは水分を効率よく吸い取ってくれる脱水シート。魚の干物や燻製など乾かす料理に活躍してくれます。乾かしすぎたくないのでラップをします。
ピチットシートがなければキッチンシートでもOKですが、たくさんの水分が出てくるのでこまめに取り替えます。
調味料に漬ける
丸24時間塩漬けにした肉。見た目にはわかりませんが、脱水シートにはしっかり水分がでていました。どことなく、脂肪分の白と肉の赤の発色が塩漬け前よりも鮮明になったような気がします。表面を軽く水洗いしキッチンペーパーで水分を拭き取ります。
牛肉と豚肉を調味液に漬けます。今回のテーマは和風クリスマス料理です。ローストビーフは「昆布締め」に、ローストポークは「味噌漬け」にしてみます。
<昆布締めローストビーフ>
昆布締めといえばヒラメなど白身魚の刺身でよく使われる技法。魚のうま味成分であるイノシン酸はマグロなどの赤身の魚に比べ白身魚には少なく淡白な味わいのため、イノシン酸と相性のいい昆布のグルタミン酸をプラスすることでうま味を増強するというものです。
魚と牛で異なりますが、牛モモ肉は赤身部分なのでイノシン酸は十分かと思いますが、牛肉の中でも脂肪分が少なく淡白な味わいの部位なので昆布締めとの相性はどうか試してみます。
調味液は次の通り。
- 出汁昆布
- 酒:4
- 砂糖:1
- 醤油:2
- (おろしニンニク):肉重量の0.5%
ベースは塩漬けの塩分と出汁昆布。塩はグルタミン酸のうま味を際立たせてくれます。そのため、醤油は少なくほんのり香るぐらいに抑えます。ちょっとおとなしすぎるかなとパンチ力を上げるためにおろしニンニクを加えましたが、結果的になかったほうがいいかも。ニンニクの存在感が強すぎて昆布のうま味が感じにくくなります。
牛肉はだし昆布を日本酒で軽く戻しタコ糸で巻きます。「昆布締め」というからには肉全体を昆布で覆うのが理想でしたが、肉の大きさに見合う昆布がなく残念ながらはみ出しています。
<味噌漬けローストポーク>
豚肉と相性のいい和風調味料を考えた時に一番に味噌が思い浮かびました。ロースの味噌漬けとか、豚汁とか(そういえば、牛汁ってあまり聞かないですね)。そんなイメージで調味液を用意します。
- 味噌:4
- 酒:2
- 砂糖:1
昆布締めローストビーフに比べ味噌と相性のいい砂糖の配合を高めます。甘辛い仕上がりをイメージしています。
牛も豚も調味液は密封した時に肉全体が浸かる程度で十分です。
それぞれをジップロックに入れて密封します。
空気をしっかり抜かないと空気が邪魔して均一に加熱ができなかったり、調味液が余分に必要になったりします。ジップロック内の空気は水を張ったボールの中に入れてジップロックの底から口に向かってゆっくり推していくと上手に空気が抜けます。
ジップロックで密封した肉は冷蔵庫で丸24時間寝かせます。
低温調理で加熱する
通常ローストビーフ・ローストポークはオーブンで加熱しますが、今回は低温調理にします。肉の主成分である動物性タンパク質は60℃前後とガスコンロやオーブンの温度(100℃以上)よりもずっと低い温度で加熱することができます。
詳しいことはリンク先に譲りますが、肉は低温で加熱することで驚くほどしっとり柔らかく調理することができます。ただし、60℃を大きく下回った温度では十分に加熱できず食中毒のリスクが大幅に上がります。低温調理は温度管理が命なので自己責任で行ってください。
低温調理専用の調理器具もありますが、炊飯器の保温モードで簡単にできます。温度計を使って目標とする温度に熱湯と水で安定させたら蓋をすればOK。
今回は63℃で90分。蓋をしても稀に温度が下がってしまうことがあるので時々温度を測って確認します。
表面を焦がす
低温調理が終わったら最後の仕上げです。調味液を拭き取らずに網を使って表面を焦がします。肉表面の調味液が焦げてメイラード反応が進み香ばしい香りがプラスされます。味だけでなく香りも「美味しい」には必要な要素です。
フライパンよりも赤外線効果の高いセラミック焼き網を使うのがオススメです。高い温度で加熱できること、網は肉と接する面積が小さいので肉がくっつかず表面がボロボロと破壊されることを防ぐことができます。裏表を焼いて表面に焦げ目がついたらOK!
和風クリスマス料理「昆布締めローストビーフ」と「味噌漬けローストポーク」完成!
焼き網で熱した肉は表面が高温になっています。すぐにスライスしてもいいのですが、少し冷ますと肉汁の流出が少なくて綺麗にスライスできます。
ローストビーフの断面図。今回はローストポークとまとめて低温調理したので豚肉に合わせて90分としましたが、牛肉はレアでも食べられる食材なので加熱時間はもう少し短くてもよかったかもしれません。低温調理60分ならさらにいい感じかも。
こっちは豚肉。豚肉の場合、断面から流出する肉汁が赤かったら危険。火が通っていれば、肉汁は透明になります。
薄くスライスするもよし、贅沢に厚切りにするもよし。どちらか選べるのは家飲みの特権ですね。
てなわけで、家でクリスマスディナー!
- 和風・昆布締めローストビーフ、味噌漬けローストポーク
- ラザニア(和風でもなんでもない)
- マグロとアボカドのポキ、煮干しオイルのホタテカルパッチョ
左がローストポーク、右がローストビーフ。味付けされているのでそのままで。手前のソースはホタテカルパッチョで作った煮干しでひいたオリーブオイルソース。
ローストビーフにはホースラディッシュを添えました。食べてみて感じましたが、ニンニク同様今回は昆布締めなのでホースラディッシュはなくてもよかったかも。
ニンニクの存在感が強すぎてしまいましたが、昆布が爽やかに慎み深く香ります。塩抜きしたこと、低温調理の時間が長めだったことで水分量は少なめ(昆布締めも関係あるかも?)。ジャーキーっぽいイメージに仕上がりました。全体的にローストビーフとしては失敗ですが、これはこれで美味しい。
ローストポークは食べる直前にブラックペッパーを挽きました。味噌の大らかな甘辛さが美味しい!こっちはローストポークとして大成功です。
クリスマス料理を和風にしたローストビーフとローストポークを紹介しました。昆布締めは改善の余地ありです。もうちょっと研究します。ローストポークは間違いなく万人ウケします。ニンニクハーブと塩胡椒のローストポークも美味しいですが、味噌風味もGOODです。
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